名前が数字に変わった日11
次の日、いつも通り六時半に起床する
布団を片付け、歯を磨く
一連のルーティンが終わり
独房に戻り、格子の隙間から窓ガラス越しの空の色を眺めた。
取り敢えず官本も入れてはいたが
一ページも開かないまま床に置いていた
一時間が過ぎ
二時間が過ぎる
いつもと何も変わらない時間
段々と、昨日の話が勘違いに思えてきた
勝手に期待をして
勝手に肩を落とす自分は酷く滑稽だと思った。
畳に腰掛けて
大きく深呼吸をした
すると少しずつだが
留置所の奥がバタバタと騒がしくなってきた
少なからず心拍数が上がった
でも、これ以上何度も落胆したくなかったので
無理矢理、官本を一冊読む事にした。
すると看守が目の前に来て、
前触れもなく独房の鍵を突然開けた。