名前が数字に変わった日15
家も
外も
何も縛られずに動き回れる現状が
不思議で落ち着かなかった
段々と空が明るくなってゆくまでの間
何度も寝室を行き来して、家族の寝顔を見ていた
夢じゃないんだって
信じ切れていない感覚にあてられながら
少しずつこれから先の事を考え始める
仕事も
金も
自由も
信用も
全てを失ってしまった
今まで生きてきた中でこれほどまで
何もかもを喪失した事があっただろうか
全て自分の行いである故に
自責の念はこれまでの人生の中で最も大きく
そして禍々しい形をしていた
後悔しても何も変わらない
大事なのはこれから先どうしてゆくか
それを一番分かっているのは自分の筈なのに
頭の中は真っ白だった
逮捕されてからずっと辞めていた煙草を
絶え間なく、また燻らせていた