名前が数字に変わった日12
留置所に入った際の持ち物を確認するから
房から出てこちらに来て下さい。
そう告げられて
看守と共に長い廊下を歩いてゆく
入った事のない部屋に通されると
一ヶ月前に預けていた私物が並んでいた
大体、三十分ほど掛けて確認をして
一度独房に戻された
その辺から段々と
保釈される実感がちゃんと湧いてきた
ほどなくして
次は担当の刑事から呼ばれ、取り調べ室へ向かう事になった
その時はもう
手錠も腰縄も付けられ無かった
当たり前に手を振って歩ける事が
まるで夢の中に居るような感覚だった